mobile sculpture

story

はじまり


ある日、蝶たちが戯れるように飛び交う様子を眺めていたらこんな想いが浮かんできました。あの自由奔放に飛ぶ蝶たちのように、やわらかなつながりの中で誰もが自分の持ちあわせている力を最大限に発揮することができたならたらどんなに素晴らしいだろうかと。そんな蝶たちにインスパイアされてモビールをつくってみたくなりました。





design

デザイン

蝶が飛行するときの羽ばたきの少なさは昆虫の中でも突出しています。一見すると風に翻弄されているように見えても、実は上手く風の流れに乗ってちゃんと自分の目的の場所まで飛行しているのがわかります。ほとんどが翅で占められている蝶のカラダは空気をカラダ全体でとらえるための究極のデザインが自然から贈られたのでしょう。





paper work

ペーパーワーク

モビールの制作は蝶の試作からはじめました。昆虫学者さながらに蝶の観察とスケッチを続け、およそ思いつく限りの素材で試作を重ねた末に紙という素材にたどり着きました。空気との親和性、光の透過性といった機能性の高さだけではなく、不用意に掴むと壊れてしまいそうな蝶が放つはかない生命感は、紙をおいて他に表現できる素材がありませんでした。古くから紙は何かを伝えるための手段として人に使われてきましたが、この身近な素材は物語の息づかいみたいなものを宿しているようにも思えます。上書きも一括消去もできないところも紙の魅力の一つです。





wire work

ワイヤーワーク

紙の蝶たちを構成するワイヤーワークにもこだわりがあります。蝶の頭数が増えるに従って、それらを支えるワイヤーの剛性が求められるために太いワイヤーが必要になってきます。するとモビール全体の重量が思いのほか増えてしまい、強い風が当たらなければ動かないシャンデリアみたいなモビールになってしまうのです。求めているモビールの動きは強い風をしなやかにいなし、わずかな空気の対流でもゆらぐ本物の蝶のような生命感のある動きです。たくさんの失敗を重ねていきながらワイヤーの剛性と弾性を上手く操れるようになると、導かれるようにモビールのデザインは自決まっていきました。





achievement


そして完結

完成はつねに予想外のところにあって自分の手の中にはありません。バランスを大切にするモビールの制作は最後まてどんなものができるのか予想が立ちません。ほとんど重力の中で遊ばせてもらっているような気持ちで楽しむことができました。完成したモビールは期待を裏切ることなく、風で躍動させると本物の蝶のように舞い、かすかな空気の対流があればやさしく応えてみせてくれます。つながりの中でそれぞれ蝶が自由にゆらぐ有機的な動きが、どうかするとあわただしく過ごしてしまう暮らしにやすらぎと静けさを取り戻してくれます。




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b l i s s

「人生はブリス(至福)です。味わいましょう。」と言ったのはマザー・テレサでした。そして彼女はブリスはすでに自分の中に存在していることを、そしてそれを実感する生き方ができているかどうかを説きました。たしかにかけがえのない人と心を通わせると心の中に言葉にならない何かが流れるのがわかります。その心に通うものがブリスなのでしょうか?ブリスは目には見えませんがそれを見えるカタチとして表現できるのがきっと私たちの姿なのかもしれません。私たちは一生を通じて心を通わせる対象を広げていきながら、実はこの世界のすべてがブリスの顕れであることを想い出そうとしているのかもしれません。美しいものや畏敬するべきものへの関心を深め、いつも驚きと感動が溢れるような日々を過ごしていきたい、そんな想いをこのサイトを通してシェアしていけたらと思います。そして一人の洞察が他の誰かの洞察に働きかけるようなつながりが生まれることを心より願っています。

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